善導大師像の伝来の霊夢

この善導寺は、浄土宗の宗祖法然上人の後をお継ぎになった、鎮西聖光上人が創建されました。法然上人のもとで浄土宗の教えのすべてを学び、自分の生まれ故郷である九州で、その教えを広げたいということで帰って来られたのです。そして建暦二年(1212年)三月に善導寺を始められたのですが、奇しくも、この年は宗祖法然上人が入寂された年でもあります。法然上人が亡くなられてから四十九日間、英彦山権現で法然上人追善のご供養をされ、その四十九日の逮夜(前夜)、鎮西上人は不思議な夢をみられました。どんな夢かと申しますと…。
念仏を唱える上でも、学問の上でも師匠であり、唐僧で中国浄土門の開祖である善導大師が夢の中で、「今博多に降り立ったので、汝早くわれを迎えに来るべし」とお告げになったのです。それで夜中に旅支度をしていたら、英彦山座主蔵慶も同じように旅支度をしていたので、お尋ねになると二人とも同じ夢を見ておられたのです。これはまさしく何かあるということで、蔵慶とともに急いで博多の袖の港へ行かれました。そうすると船が着いており、この船に非常に徳の高いお坊さんが乗って居られたはずと尋ねられたら、千代の松原(現在の東公園方面)の方へ行かれたということで、蔵慶と二人で捜していると、大きな松の木の方向から声がしたので後ろにまわってみましたら、切り株の上に約三十センチ程の仏様がおられました。このお姿が善導大師だということでお迎えし、お祀りするために建てられたのがこの善導寺でございます。